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「はたらく島人」 屋久島ジェラート そらうみ | 屋久島マルシェ

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「はたらく島人」 屋久島ジェラート そらうみ

起業・事業拡大・雇用創出した事業者さんにインタビュー

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屋久島のフルーツの美味しさを教えてくれるお店

2014年5月、屋久島初のジェラート店が麦生集落にオープンしました。ジェラートとは、アイスクリームやシャーベットなどの総称です。「そらうみ」のメニューでは果物をシャーベット状にしたものや、コンフィチュール(元々は保存するために果物を砂糖漬けにして煮詰めたもの)を乳脂肪分と混ぜた、クリーミーなものを主に出しています。
創業したのは、2013年に神奈川から移住されたご夫婦。
屋久島が好きで何度も旅行者として訪れているうちに、“屋久島にあったらいいな”と、屋久島の豊かな資源を活用すること、この島で生活の糧を得ること、そのすべてがジェラート店という職業で実現できることを確信しました。屋久島の豊富な果物を中心にして作っているジェラートの味は、観光客にも島民にも好評なようです。

 

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右 毛利 哲さん(神奈川県出身)
左 毛利 みおさん(東京都出身)
都内の大手レコード会社勤務を経てご夫婦で「そらうみ」を経営。以前の職場では、みおさんは事務業、哲さんは同社のキャラクターグッズ制作会社でプロデュース業に就いていた。

さわやかな店内。まだお客さんの居ない開店前の店内でジェラートの機械が動く音が響く。何度か作業の確認をする声が聞こえ、フルーツの香りの中で黙々と仕込みをするお二人。
青と白が基調になる「そらうみ」の看板、入口、エプロンも。天井の高い店内は清涼感があり、さわやかなお二人が切り盛りするジェラートにもまさにそんな味が出ているようです。

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■前日に仕込み、-20℃以下の冷凍庫でしっかりと寝かせたジェラート。ショーケースに移し、食べごろの柔らかさに。

 

アイスクリーム店が無い?!

2004年ころから10回近く屋久島に旅行に来ていた僕達ですが、当時、屋久島にはアイスクリーム専門店はなく、夏を中心とした観光地なのになぜ誰もやっていないのだろう?と疑問に思ったのが始まりです。
屋久島の果物はたんかん・ぽんかんに始まり、パッションフルーツ・グアバ・マンゴー・パパイヤ・すもも・やまもも・びわ・島バナナ・ドラゴンフルーツ・梅・パイナップル等のフルーツが豊富に生産されています。しかし、これらの果物が島外や島内に出荷されるのは厳選されたごく一部であり、全種類ではありません。こんなに美味しいものであふれているのに、おみやげに買って帰りたくても生のフルーツは手軽に持って帰れないんです。
さらに島のものを使ったお土産が少ないと感じていました。サバ節などは有りますが、これだけ果物があるのだったら、それを活かしたことができないかと思って。ジェラート店をやるとなってからは、島外への発送も視野に入れました。

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移住するための1・2・3!

初めて旅行に来た時にこの島が気に入ってしまって、漠然と田舎暮らしができればいいなと思っていました。その後も自然公園や海外などに行っているうちに、自然の中で暮らしたいという気持ちが強くなってきたんです。
2度目の屋久島旅行で、奥さんには内緒で不動産会社に連絡していました。5〜6箇所家を探しに廻りましたが、いいところがあまりなくて最後に「もう一箇所あります」と見せてもらったところが今住んでいる家です。家主さんができるだけ早く島を出たがっていて、値段も少し安くしてくれるとのことで、すぐに手を打ちました。
2012年までに何度も登山やスキューバダイビングをしに訪れていると、土地が売りに出ていて、屋久島にお店を出すなら県道沿いのこの場所で商売をしたいと思い買っておいたのです。
屋久島に来て、雇われて仕事をすることはもともと考えていませんでした。仕事の種類も量も無いでしょうし、自営業をやっていく方が屋久島での理想的な暮らし方が出来るのではないかと思って。それだったら何をやろうかといろいろ考えていたところ、奄美大島へ旅行に行った時に友人に勧められジェラート店「ラフォンテ」に行きました。そのお店との出会いによって、「アイスクリーム専門店がない屋久島に、自分たちがジェラート店をつくる!」という想いに変わりました。

 

勉強の日々

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■ハンモックチェアのスペース。今までの屋久島には無かった空間を作り、お客さんに楽しんでもらいたいという気持ちがここにも。珈琲を飲みながら本を読み、ゆっくりとした時間を過ごすお客さんも多い。

しかし実際に離島で、機械をどうやって手に入れるか、全てにかかる値段や送料などわからないことだらけでした。
そんな時、ジェラートの機械をイタリアから輸入販売している代理店が通勤沿線内にあると知り、お休みを取っては夫婦でジェラート講習に通い、そこで基礎を教えてもらいました。
“いつか屋久島でジェラート店をしたい”という一心で、「ラフォンテ」に“学ばせてもらえませんか”とお願いの手紙を送り、実際にお店を運営するために必要な道具や機器、ジェラートを作る際のコツや飲食店の営業許可を取るためのノウハウまで丁寧に教えてもらうことになりました。
よくある開業の失敗談として、“中古の家を購入してそこをカフェに改築したけど、保健所の許可申請をしに行ったら「ダメ」と言われて困りました”ということがあるそうです。そうはならないように、厨房や店内をどういう風に作ったらいいか保健所へ店舗の図面を持って行き、壁の素材など細かく相談しました。特にアイスクリームは衛生に関して厳しいのです。

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■みおさんは果物の加工など担当。哲さんはブログ発信や中長期計画を立ててお店のプロデュース。

 

島特有の対策は忘れずに!

来島10回目となる2013年1月末に移住をしました。
1年3ヶ月の間に、屋久島への引越しとお店の新築・開店を行いましたが、下準備は移住する前から計画的にしていました。できるだけ早く仕事を始めないと無収入になってしまうのでそこはしっかりとやりましたね。
あらかじめ大工さんの目星をつけて相談をし、業務用の厨房機材は離島ということで選択肢が狭まってしまいますが、最終的にはメンテナンスに来てもらえる業者さんを選びました。 本体価格や保険はネットの方が安くても、電気系統なので担当者が近くにいる方が大事だと思います。住んでからわかったのですが、停電も多い地区なのでそこは特に必須ですね。更に停電対策に冷凍庫にはマイナス20℃以下の保冷剤をたくさん完備し、家財保険も入りました。

 

農家さんとの繋がり

「ジェラート屋を始める!」と周りに言い始めたところ、近所の人がマンゴー農家さんを紹介してくれたり、夫婦で趣味のテニス仲間に農家さんがいることがわかったり、お店を始めてからもお客さんが新しく農家さんを連れてきてくれたりと、自然と農家さんとの繋がりが出来ていきました。たんかんやぽんかんは農園に収穫の手伝いに行って、サイズ違いや傷のある見た目だけ「規格外」のものを割安で仕入れています。農家さんも捨てるより、そらうみが引き取ったほうがいいと。
ネクストのセミナー(当サイトを運営しているネクスト屋久島応援隊主催の雇用拡大・人材育成セミナーです。)に行ってお塩を作ってる方と出会い、使わせていただいたり。
味を決めるものは島のものばかりじゃないです。観光の方は島の味がいいでしょうが、島民の方は必ずしも島のものを食べたいとは限らないと思います。どちらのお客様にも楽しんでもらえるものを作っていきたいですね。

グアバ横並び

 

島の果物

中間集落県道沿いにある「農業公園ファームパラダイス」で初めてグアバを食べたとき、子供の頃に飲んだ100%グアバジュースの記憶がくつがえりました。「こんなに美味しかったのか!」と。実際に島に来るまでグアバの実物を見たこともなかったんです。それ以来毎朝スムージーを作って飲んでいました。
グアバは特に、熟して落ちた直後が最高に美味しいそうです。そのためにここのグアバは熟す半日前に収穫するので、果物のままではあまり流通できないんですよね。
冬にはたんかん・ぽんかんなどのみかん系がジェラートに仲間入りします。ジェラートの種類が少なくなる冬までに時季の果物をたくさん仕入れて、すぐに下処理&加工をし冷凍保存をします。

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■「農業公園ファームパラダイス」にて3種類のグアバを採りに。中央は農園主の中村さん。

屋久島で働くこと

夫婦でやっていける仕事量と生活のバランスがいい状態です。
究極の田舎暮らしとまでいかず、利用しようと思えば便利なものもあるし、適度に自然の中での暮らしが自分で選択できるということです。
「そらうみ」はたまたま屋久島の南部にありますが、島の北と南で気候も雰囲気も違っています。南部は北部より建物も少なく農家が多いので、果物の仕入れにも、ゆったり働くのにも南部でよかったと思いました。
結果的に季節を変えて10回近く島に旅行来たのがいいリサーチになりました。流し虫が来ることは知らなかったんですが!

※流し虫…シロアリの一種。屋久島では梅雨のことを“流し”という。雨季に大量発生し、集光性があります。

 

これからのそらうみ

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■美味しい珈琲がどういうものか東京の堀口珈琲にて学び、「そらうみ」お気に入りのスペシャリティコーヒーを用意。ジェラートに合うドリンクメニューはシンプルに、コーヒー・エスプレッソ・カプチーノ・アイスラテ・炭酸水・ビール。

冬には、プレオープンでも好評だったアッフォガート(「そらうみ」ではミルクジェラートにエスプレッソをかけてお出しします。)など、夏場は手が回らなくて出来ないメニューを出そうと思います。地方発送の準備もしていきます。5月にオープンしたばかりなのでまずは1年を通してやってみることです。
観光シーズンの忙しさの中でも時季の果物は一度にたくさん採れるので、それらの下処理・加工などの製造作業と接客・店の周りの草刈りなど、秋には冬の分を仕込んでいくことなど、夫婦でどのくらいできるか1年の仕事配分を把握しつつ、来年はまた新たなメニューを出していきます。

ジェラートの味となる果物がどこの農家さんか教えてもらえば、島に暮らす人には生産者さんが近いことがわかるので安心です。また、食べ逃した旬の果物を1年を通して味わえる楽しみがあります。旅行者として島を外から見ていた時の想いは忘れずに、島に暮らして感じたことを融合したお店づくりをしていく「そらうみ」。島外への発送や、新たな味のジェラートや新メニューの登場など、今後の事業展開が楽しみです。

 

a8 屋久島ジェラートそらうみ
営業時間/13時〜17時30分(L.O.17時15分)時季により変更あり。 定休日/毎週火・水、第1土曜日。
2014年5月開業。屋久島初のアイスクリーム類の製造許可を持つ。英語が堪能な哲さんは、「そらうみ」のfacebookページを海外向けに発信。そのため外国人のお客様も多い。

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