やくしま食堂 第1回「飛魚すり身のパリパリ春巻き」
島の料理上手さんたちが、食材の生産者さんたちをお招きしてとっておきの料理をふるまいます!
ようこそ、やくしま食堂へ
第1回目の食材は、島の人ならみんな大好き「飛魚のすり身」! 飛魚の漁獲量日本一の屋久島では、昔から飛魚をすり身にして食べます。すり身職人たちは飛魚をさばいて内臓などを取り除いた後、きれいに水洗いしてミンチにし味付け・加工します。島内に数多くある飛魚のすり身屋さんですが、お店ごとに様々な味がありどの店も秘伝の味を守り続けています。島の食卓ではそのまま揚げたり、いろいろな野菜を入れたりしてさつま揚げのように食べるのが一般的です。
今日のシェフは、安房在住の主婦 小林香代さん(写真左)。3人の男の子を持つお母さんである小林さんが、食べ盛りの息子さんたちも大喜びな、とっても簡単で新しい食べ方でごちそうしてくれました。そしてお客様は、飛魚のすり身を作り始めてなんと70年の歴史を誇る松田商店さんから、牧裕子さん(写真右)です。裕子さんはご主人隆之さんと松田商店三代目に向けて修行中! さてさて、さっそくいい匂いがしてきましたよ…。
牧さん わあ! 美味しそう!
小林さん 毎日バタバタしてるから、簡単ですぐできるものとして思いついたの。お弁当にもビールのおつまみにも、おもてなしにもいいからよく作るのよ。
牧さん 美味しい! 春巻きだなんて新しい食べ方だなあ。うちの子供にも作ってあげよう!
小林さん 私、屋久島育ちだから小さい頃からよくすり身を食べてたの。うちの子供たちもいずれ大人になって、島を出ていくかもしれないでしょ。その時に屋久島の味を覚えていてほしいって思って。
ーーーパリパリの皮とフワフワ弾力! またたくまにお皿は空っぽに。
牧さん うちの店は今、主人、叔母、そして私の母の3人ですり身を作っています。叔父が獲ってきた飛魚を水揚げするところから始まり、さばいて、こさいで(内蔵などを削り落として)、水洗いして、ほとんどが手作業なんです。冬はしもやけになったりして大変な事も多いんですけど、こうやって故郷の味として覚えていてもらえるようにと、料理してもらうのは本当に嬉しいです。
小林さん 他にも美味しい食べ方いっぱいあるよね。味噌汁とか鍋とか。すごくいいダシが出るよね。
牧さん うんうん! 実はうちは鍋でしか食べない! 冷凍のまま包丁で切って、鍋に入れるんですけどホワホワ、プリプリですごく美味しい。
小林さん ハンバーグにしても子供たち喜ぶよ!
牧さん いろいろな食べ方があるんだなあ。美味しく食べていただいて嬉しいです。ごちそうさまでした。
小林さん いえいえ! いつも美味しいすり身を作ってくれてありがとう。
松田商店さん(→店舗詳細ページ)

松田商店で作っているすり身は、1パックにつき5~6匹の飛魚を使っているので、毎日平均して1000匹ぐらいさばいているそう。裕子さんとご主人隆之さんは7年前夫婦で屋久島に帰郷してから、裕子さんの実家である松田商店で飛魚のすり身を作っている。「最初は作業場の魚臭さにやられてました。魚なんてさばいた事もなかったし。でも今は目をつむっていても切れますよ~」。90歳になる裕子さんのおばあちゃんが作りあげてきた松田商店の味は代々受け継がれている。「とにかくおばあちゃんに感謝です」。“伝統を守り続ける” それは屋久島の味を守り続ける事。
右:ご主人の牧隆之さん。新鮮なものにこだわり毎日ひたむきに飛魚をさばく。
左:叔母の阿蘇品ゆみこさん。「愛情込めて作ってるの」とニコニコ笑う。この笑顔が美味しいすり身を作る秘訣。
飛魚すり身のパリパリ春巻き(作り方)

春巻きの皮 1袋
飛魚のすり身 1パック
青じそ 10枚程度(皮の枚数に対して1枚)
揚げ油 適量

〈ポイント〉
すり身は揚げると膨らむため、巻く時に少し余裕を持って。
